日常生活の中で、使用頻度が高くても使い方に迷う表現がありますね。
その一つが、
「統合(とうごう)」と「結合(けつごう)」です。
「統合」と「結合」は、似た意味合いをもち、どちらも「何かが1つに合わさってまとめる」というイメージがありますが、正確に言うと微妙な意味の違いがあり、使い分けを意識することが大切です。
特にビジネスシーンにおいては、「統合」と「結合」を混在して使用すると、
誤解を招いたり、違う意味に受け取られるかもしれませんので注意が必要ですね。
この記事では、「統合」と「結合」の微妙な意味の違いを明確に詳しく解説し、例文でポイントを説明します。
「統合」と「結合」 それぞれの定義は?
「統合」と「結合」は意味合い的に重なるところがあります。
まず「統合」と「結合」の基本的な定義について、わかりやすく解説していきます。
統合の定義とは?
「統合」の定義とは、2つ以上の異なる要素を1つにまとめることをいいます。
全体の効率化を図るため、数を減らして1つのまとまりにする際に使われます。
現代社会においては、比較的硬めの表現として使用されるケースが多いようです。
たとえば、以下のような使い方が考えられるでしょう。
•「新年度から、営業部と企画制作部を統合します」
•「行程で得られるデーターを統合して品質管理の最適化を図ります」
•「みなさんの意見を統合して結論をだします」
結合の定義とは?
「結合」とは、2つ以上の要素を1つに結びつけることをいいます。
平たく言うと、「何かと何かをくっつける」感覚でしょうか。
くっつけることで1つのまとまりを作りますが、全体の数を減らすとは限りません。
たとえば、以下のような使い方が考えられるでしょう。
•この分子と分子の結合は、ノーベル賞級の発見だ
•NASAの新しい衛星が宇宙空間でステーションと結合した
•過激な思想の下に結合しようとしている
「統合」と「結合」のそれぞれの意味の違い
「統合」と「結合」のそれぞれの意味の違いは、
それでは、「統合」と「結合」について、より詳しく見ていきましょう。
「統合」の意味は?
「統合」の意味は、いくつか複数のものを1つにまとめる=結果として数が減ることを表します。
つまり、1つにまとめることで、数を減らす目的が「統合」です。
そのため、数を減らしたいという目的が生じた時、「統合」が使われることが多いです。
•「A市とB町、C町を統合して、新たにD市となりました」
1(A市)+1(B町)+1(C町)=3市町→1(D市)になるので、数が減っていますね。

「統合」は、もともと結びつく性質をもたないモノを、形として1つにする、
という点にも注意したいですね。
「結合」の意味は?
「結合」の意味は、いくつかのものを結びつける、くっつけるだけなので数の変化に影響がないケースが多いようです。
つまり、1つに結び付けて、くっつけるのが目的なのが「結合」です。
単純にくっつける・連携する目的が生じたときに「結合」が使われることが多いです。
例:「分子Aと分子Bが結合した」
1+1=1 となり、数に変動はありませんね。

「統合」と比較すると「結合」は、もともと結びつく要素をもっているモノ同士がくっつく、という意味合いがありますね。
「統合」は溶け込んで1つになる感じ、「結合」は単にドッキング、と言えるかもしれません。
「統合」と「結合」英語の違い
「統合」と「結合」など、似ている意味をもつ2つの日本語の、
その微妙な違いを感覚で理解するためには、
その言葉を英訳した場合の英単語を比較すると、納得できるケースがあります。
「統合」「結合」を英語でなんて言う?
•「統合する」という日本語に対応する英単語は、「integrate」という他動詞が一般的です。
難関大学の受験や英検準1級レベルですが、ビジネスの世界では必須の英単語です。
•「結合する」を和英の辞書で検索すると、いくつかの英単語が表示されますが、最も日本人的に「結合する=くっつく、結びつける」を実感できるのは「connect」でしょうか。
「integrate」を検索すると「結合する」という日本語で説明されているケースもあり、
必ずしも「統合=integrate」「結合=connect」と対応しているわけではないのですが
日本人として「統合」と「結合」の微妙な違いを理解する上では参考になると思います。
「統合」と「結合」逆にして使ってみる
「統合」と「結合」を逆にして使ってみると、
その違いに気づくことができます。
例文を用いて解説していきます。
「統合」→「結合」で使ってみる例文
•新年度から、営業部と企画制作部を「結合」します
•行程で得られるデーターを「結合」して品質管理の最適化を図ります
•みなさんの意見を「結合」して結論をだします
↑以上のパターンで、「結合」を使用すると違和感を覚えませんか?
「結合」→「統合」で使ってみる例文
•この分子と分子の「統合」は、ノーベル賞級の発見だ
•NASAの新しい衛星が宇宙空間でステーションと「統合」した
•過激な思想の下に「統合」しようとしている
お互いを入れ替えてみると、「使えない」感覚が明瞭になりませんか?
「結合」は物理的に何かと何かがくっつく、という事象にフォーカスされており、
必ずしも全体の調和を求めるものではないようですね。
まとめ
使い方に迷う表現の1つ「統合」と「結合」は、どちらも「何かが1つに合わさってまとめる」というイメージがありますが、微妙な意味の違いがあります。
意味の違いは、
「統合」……いくつか複数のものを1つにまとめる=結果として数が減る
「結合」……いくつかのものを結びつける、くっつける、数の変化に影響がない
となり、なんとなく区別がつくイメージができるのではないでしょうか。
ビジネス・ITではよく使われる「統合」と「結合」ですので、目的を明確にすることで使い分けができそうですね。
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