日常生活で何気なく使っている日本語でも、迷ってしまうケースは少なくありません。
重箱の隅をつつくように「それは間違った使用法だ!」と指摘するほどではなくても、一応大人であれば正しく使っていたいよなー、という場面に出くわした時のために……。
会話でよく使うフレーズの「きりかえる」の場合、書き言葉では
•「切り替える」
•「切り換える」
となり、「ん?これはどっちを使えばいいのかな?」と思うこともあるでしょう。
このブログでは「切り替える」「切り換える」の意味や使い方について詳しく解説していきます。
「切り替え」「切り換え」どちらも正しい?
「切り替え」と「切り換え」は結論を先に言いますと、日常的にどちらを使っても問題ではありません。
•「切り替え」「切り替える」は日本語として辞書に記載されており
•「切り換え」「切り換える」も国語の辞書を調べると記載されています。
どちらの表記も確かに日本語として存在しており置き換えが可能で、国語辞典などでは「同義語」として扱われています。
問題は「どんな場合にどちらを使用するのがベターなのか」となります。
それでは「切り替える」「切り換える」の意味の違いを明確にしていきます。
「切り替える」の意味は?
「切り替える」の「替」は「かわる・かえる」という意味になり、心理的な面や抽象的な変化や交代を表すときに使用されます。
「切り替える」に使用されている漢字「替」に注目しましょう。
「替」の「日」は、漢文でよく使われる「子曰く(しいわく」の「日」で、言葉を発する意味が含まれており、「言葉を交わして取り替える」のニュアンスのようです。
なんとなく、わかったような感じがしますね!
物理的な「かえる」ではなく、システムや心理的な面での「かえる」「変更」を
表現する際に使用するのが理想といえるでしょう。
「切り換える」の意味は?
「切り換える」の「換」は「かえる・かわる」という意味になり、より具体的・物理的な操作や交換、取り換えを表すときに使用されます。
では、「切り換える」に使用されている漢字「換」を見ていきましょう。
「換」は手へんの漢字になっていますので、実際に手を使って「取り換える」イメージです。
日常生活の中で「電池を交換する」「ギアを切り換える」際には手を使いますよね!
このように考えると、とても分かりやすいですね!
「切り換える」は、心理的な面よりも物理的にモノとモノを交換する際に使用するのがベターといえそうです。
「切り替える」の使用例
では、具体的な「切り替える」の使用例です。
•仕事とプライベートを切り替える。
•気持ちを切り替えて頑張れ。
•生活スタイルを見直し切り替える。
•ネガティブ思考からポジティブ思考へ切り替える。
•表示言語を英語に切り替える。
このように、心理面や気持ちの面の変化を強調したいとき、抽象的な変化を表現するときに
使用するのがベターといえるでしょう。
「切り換える」の使用例
「切り換える」の使用例です。
•車のライトを切り換える。
•新しい制度に切り換える。
•電源をオンからオフに切り換える。
•国内旅行から海外旅行に切り換える。
•仕事の方法を効率的な方法に切り換える。
「切り換える」は、より具体的で変化の過程を強調する、モノとモノ、物理的な変化であることに
留意するとよいでしょう。
「切り替える」と「切り換える」を英語で表すと
「切り替える」と「切り換える」を英語で表すと、よりその違いがクリアになるかもしれません。
「切り替える」を英語で表すと
心理的、精神的な面を強調する際には「change」を意識しておくとわかりやすいですね。
She changed her mind yesterday.(彼女、きのう気が変わった)
I´m not trying to change his mind, because he´s a big fan of Tigers.
(彼の気持ちを変えようってわけじゃない。だって筋金入りのタイガースファンだから)
「切り換える」を英語で表すと
モノとモノ、物理的な面をストレートに表現する際には「switch」がわかりやすいですね。
A lot of my colleafues have switched from cigarettes to vaping.
(同僚の多くがタバコから電子タバコに変えてるよ)
I need to switch to a new phone service.
(新しい電話サービスに切り替えなきゃ)
もちろん、英語の例文でも「change」と「switch」それぞれ意味が重なることがあり、
判断は微妙ですが「切り替える」「切り換える」の違いを確認する上では参考になりますね。
まとめ
「切り替え」と「切り換え」は、日常的にどちらを使っても問題ではありません。
「切り替え」と「切り換え」を厳密に使い分けるとしたら
•心理的な面や抽象的な変化や交代を表すときに使用。
•具体的・物理的な操作や交換、取り換えを表すときに使用。
となりますが、漢字からイメージした方が分かりやすいかもしれません。
•「切り替え」……「替」の「日」は、「子曰く(しいわく」の「日」で、言葉を発する意味なので、心理的な面や抽象的な変化ニュアンス。
•「切り換え」……「換」は手へんの漢字なので、実際に手を使って具体的・物理的な操作や交換をするイメージ。
こちらの方が、分かりやすい感じがしますね。
現代日本語では使い分けがあいまいですので、「言葉を使う」か「手をつかう」かで使い分けることを
意識するとスッキリするのではないでしょうか。
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