『第107回全国高等学校野球選手権大会』。
8月19日に行われた準々決勝で、岐阜代表の県立岐阜商業が春センバツの王者・横浜高校に延長タイブレークの末8対7で勝利。
県立岐阜商業はベスト8の時点でも唯一の公立高校だったのですが、この夏の大会で49代表校中わずか6校だった公立高校として、ベスト4に残りました。
ネット上では「県立岐阜商なぜ強い?」と話題になり、その理由を考察していきます。
県立岐阜商業野球部なぜ強い?理由5選!
ベスト4に残った、県立岐阜商業野球部はなぜ強いのでしょうか。
2025年8月21日に予定されている夏の甲子園準決勝で、西東京代表の強豪・日大三高と激突する県立岐阜商業高校野球部。
大会前の予想を覆して、快進撃を続ける県岐阜商業がなぜ強いのかを5つ考察します。
理由①横山温大選手の存在
なぜ強いのか、の理由1つめは、この夏一番のヒーローとして名前が上がる背番号9・横山温大選手の存在感です。
生まれつき左手の指がないハンデを全く感じさせない、チャンスに強い左打席のバッティングと、捕球後に素早くグラブを持ちかえ送球する「アボット・スイッチ」の守備でチームを勝利に導いています。
•1回戦「対 日大山形」4打数2安打1打点
•2回戦「対 東海大熊本星翔」4打数1安打
•3回戦「対 明豊」3打数1安打1打点
•準々決勝「対 横浜」5打数1安打 1回表のピンチで超ファインプレー!
左手のハンデを抱えながらプレーする姿は、中学時代から地元メディアに取材を受けるなど注目され続けていました。
しかし、横山温大選手本人に浮かれたところは全くなく、その人間性と存在感が県立岐阜商業の躍進につながっていると思われます。

選手として残している数字も素晴らしいのですが、チームとしても、甲子園の空気も「横山温大くんが打つと盛り上がる」雰囲気が作られていますね。
理由②全国制覇4回の伝統
なぜ強いのか、の理由2つめは、実は県立岐阜商業は、全国制覇4回(春3回、夏1回)の伝統校です。
ベスト4に残ったことで「公立の星」と報道するメディアが多く、「私立強豪全盛の時代に、弱小公立高校が大善戦」というトーンも感じられますね。
しかし、県立岐阜商業は、甲子園出場、春30回、夏31回の常連校なのです。
この夏、3回戦の明豊戦に勝った時点で甲子園通算勝利数が「90」となった県立岐阜商業、中京大中京の137勝、龍谷大平安の104勝、PL学園の96勝に続いて歴代4位の成績です。

横浜高校は65勝で13位、大阪桐蔭は78勝で8位より県立岐阜商業は強いんですね。
理由③層が厚い投手陣
なぜ強いのか、の理由3つめは、層が厚い投手陣の存在です。
•柴田蒼亮投手:2年生エ―ス。甲子園の1回戦、2回戦では完投。
•渡辺大雅投手:サウスポー。3回戦、準々決勝好投。横浜戦では先発して5イニングを無失点。
•和田聖也投手:サウスポー。横浜戦のタイブレーク11回表を無得点。
•豊吉勝斗投手:サウスポー。3回戦に先発し好投。
「エース一人が踏ん張るパターンでどこまで勝ち上がれるか」と思われていましたが、3人の左腕投手がエース右腕を支える形で準決勝、決勝にのぞみます。
強い理由④ 地元愛と母校愛
なぜ強いのか、の理由4つめは、ほとんどの野球部員が地元岐阜県の出身の地元愛と母校愛です。
県立岐阜商業は公立の商業高校ですので、当然といえば当然なのですが、地元出身者がほとんどです。
今年創部100周年を迎えた県立岐阜商業高校野球部は、2人の卒業生が名球会入りするなど(高木守道さん、和田一浩さん)輝かしい歴史を誇っています。
また、女子マラソンで金メダルを獲得したQちゃん・高橋尚子さんも卒業生で、この夏の県岐阜商の試合後にSNSでコメントを発信しています。
県岐阜商、横浜、両校とも最後まで諦めない凄い試合でした
— 高橋尚子 (@TakahashiNaoko) August 19, 2025
感動をありがとう😭
ちなみに、この夏の“県岐阜商”フィーバーに地元岐阜市民は「県岐阜商じゃなくて県岐商な あってるっちゃあってるけど」とその表記にとまどいの声も……。

地元読みでは「県岐商(けんぎしょう)」で、岐阜市立商業高校の「市岐商(しぎしょう)」と区別されているようですね。
強い理由⑤ クラシックなユニフォームに戻った
なぜ強いのか、の理由5つめは、クラシックなユニフォームに戻ったことです。
もともと、県立岐阜商業のユニフォームは、白と青い文字とラインのシンプルなデザイン。
しかし、OBで4番・エースとして甲子園に出場、東京六大学、社会人でも活躍して阪神タイガースにドラフト2位指名された(入団せず)鍛治舎巧さん。
その鍛治さんが監督に就任した2020年、突然ユニフォームのデザインが変更となり、地元民や全国の高校野球ファンはとまどいました……
やけに青と黄色が目立つデザインは、鍛治舎さんが在籍していた松下電器野球部の配色だったのですが、高校野球ファンにとって鍛治舎さんの前任校である熊本の秀岳館高校そのまんま。
オールドファンを失望させたそのユニフォームは、鍛治舎監督が退任する直前の2024年春から伝統のデザインに戻り、再び「強い県岐阜商業」が戻ってきました。
県立岐阜商業野球部・監督
県立岐阜商業高校野球部の藤井潤作監督は、県岐阜商野球部のOBではなく、市立岐阜商業高校の卒業生。
現役時代は内野手としてプレー、朝日大学、社会人の「一光」でも活躍しました。
商業科の教諭として教壇に立ちながら、県立岐阜商業→土岐商業→東農実業で野球部の指導に携わり、2024年秋から県立岐阜商業の監督に就任。
わずか1年で県立岐阜商業を16年ぶりの甲子園ベスト4へと導きました。

チームのテーマは、底抜けに明るい最強チーム。100回やったら99回は負ける。残りの1回が甲子園で出た。最期まで暗くならなかったことが勝因かもしれません。
と横浜高校に勝利した後で語っていました。
まとめ
『第107回全国高等学校野球選手権大会』。
8月19日に行われた準々決勝で、岐阜代表の県立岐阜商業が春センバツの王者・横浜高校に延長タイブレークの末8対7で勝利。
県立岐阜商業はベスト8の時点でも唯一の公立高校だったのですが、この夏の大会で49代表校中わずか6校だった公立高校として、ベスト4に残りました。
8月21日に準決勝で日大三高と対戦となります。
横山温大選手の活躍も含めて、伝統校の久しぶりの夏制覇に向けて期待が高まりますね!
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